アリゲーターガー

アリゲーターガー ガー目・ガー科



アリゲーターガー


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標準和名 アリゲーターガー
分 類 ガー目・ガー科・アトラクトステウス属
学 名 Atractosteus spatula
英 名 Alligator gar
分 布 北アメリカなど
生息環境 大きな河川の下流域や湖沼など
全 長 2~2.5m 程度
アリゲーターガーは北アメリカに分布する最大の淡水魚で、大きいものでは全長が3mを超え、体重は140キロ程に成長するものも見られる。
南アメリカに分布するピラルクと並び、世界でも最大級の淡水魚で、ミシシッピー川流域などのメキシコ湾に注ぐ水系に分見られ、アメリカや合衆国の南西部やメキシコ、ニカラグアなどに分布している。

体は縦扁していて細長く、体色は黄色がった緑色や褐色をしている。
名前のように、吻はアリゲーターやガビアルのように口と一緒に突き出していて、口には鋭い歯が並んでいる。
また、この長い吻は大型の魚などを捕らえるにも適していて、スポッテッドガーなどよりもずっとがっしりとしている。

各ひれは比較的小さく、基底も短い。
胸びれと腹びれ・しりびれはほぼ等間隔で離れていて、背びれはしりびれの上についている。
ひし形の硬い鱗(ガノイン鱗・硬鱗)に覆われていて、鱗と皮は装飾品の材料に用いられることもある。

湖沼のほか、ミシシッピ川やミズーリ川など、大きな河川の下流域を中心に、流れのよどんだ湿地帯や汽水域にも生息している。
概ね流れが緩やかで、比較的水深の浅いところを好む傾向があるが、酸素の少ないところでも浮き袋によって空気呼吸が出来る特徴がある。

また、アリゲーターガーは淡水魚ではあるが海水の中でも生活することができ、汽水域や沿岸部の海に生息しているものもいる。

淡水と海水の両方に生息できる数少ない魚であるが、アリゲーターガーはジュラ紀から白亜紀(約2億1000万年前から6500万年前)に栄えたガーパイク(硬鱗魚)の現生種のひとつで、原始的な魚類の特徴を備え、学術的にも貴重な魚とされている。

肉食性で、稚魚の間は水生昆虫や落下昆虫などを食べるが、成長するにつれてカニやエビなどの甲殻類や魚を主に食べ、大きいものになるとカメや水鳥を襲うこともある。

産卵期は5~7月頃と言われていて、雌は赤色や濃緑色の卵を岩や水草などに産卵するが、この卵は食用にするには有害とされている。
幼魚のときはほかの魚の餌になるが、成長したものにはほとんど天敵がいないと言われている。

稀にアリゲーターに襲われることがあるが、最大の天敵は人間で、漁業や釣りの対象として乱獲されたほか、ダムなどの建設や河川改修などで生態系が変化し、近年は生息数が激減している。
現在、アメリカではアリゲーターガーを含め、ガーパイクの仲間の多くに保全策がとられている。

一方、近年では国内各地の河川や池などでもアリゲーターガーが捕獲されたり目撃されている。
これは、飼育していたものが大きくなるにつれて手に負えなくなり放流したものが多いと思われるが、オオクチバスブルーギルなどと共に、在来種に与える影響は深刻なものがある。
アリゲーターガーの寿命は長く、特に雌では50年程も生きるとも言われていて、長期に渡る影響が懸念されている。


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