ハス

ハス コイ目・コイ科



ハス


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標準和名 ハス (魚偏に時)
分 類 コイ目・ コイ科・ダニオ亜科・ハス属
学 名 Opsariichthys uncirostris
英 名 Three-lips
分 布 日本や朝鮮半島、アムール川水系、中国の長江水系より南など
生息環境 遊泳性が強い
全 長 30~35cm 程度
別名・地方名 ケタ、ケタバスなど
備 考 背びれ・3棘7軟条、しりびれ・3棘9軟条、側線鱗数・46~62
保護状態 環境省レッドリスト・絶滅危惧Ⅱ類
ハスはコイ科に属する淡水魚で、日本のほか、朝鮮半島や中国の湖沼や大きな遊水池などのほか、河川の中流から下流にかけて生息している。

体は側扁していて細長く、側線は中央より下に湾曲して縦走している。
しりびれが大きく、幼魚ではオイカワと似ているが、ハスの口は特徴的な「へ」の字形に曲がっているので見分けることが出来る。
この口は吻端に上を向いて開いているが、下顎は吻端で突出していて、両側にはくぼみがあり上顎とかみ合っている。
また、口ひげはない。

体色は背側では青みを帯びているが、体側と腹側は銀白色で、雄は雌よりも大きくなる。
繁殖期にはオイカワやカワムツに似た婚姻色が現れ、雄では頭部や腹部、各ひれが赤っぽくになり、しりびれ前方の軟条が伸びて大きくなる他、頭部と尾柄部、しりびれには多くの追星が現れる。

仔稚魚では動物プランクトンや底生の小動物を食べるが、ハスは成魚になるにつれて、コイ類やハゼ類などの小魚を食べ、コイ科の中では珍しく魚食性である。

警戒心が強く、群れを成して生活しているが、移動・遊泳能力に優れていて動きも素早く、同じ魚食性の淡水魚であるナマズドンコなどとは違って、獲物を追いかけて泳ぎ回る。
また、琵琶湖などでは沖合いの表層近くを泳ぎ、小魚などを追って水面を飛び跳ねるのが見られるが、ハスは昆虫なども捕食する。

普通は5月下旬から8月中旬頃にかけて、水の澄んだ湖岸や流入河川の流れの緩やかな水深5~20cm程度の砂や砂礫底に産卵する。
産卵は昼間に行われるが、1年程で体長6㎝、2年で13㎝、3年で20㎝程に成長する。
完全に成長すると体長30~35cm程になり、飼育下での寿命は7年程度と言われている。

国内での分布域は琵琶湖・淀川水系と福井県三方湖に在来分布しているが、ワタカなどと同様、琵琶湖産アユの放流種苗に混入して、利根川などの関東地方や長良川・木曽川などの濃尾平野のほか、中国地方や九州地方にも分布を広げている。
ハスは魚食性のため、移入による在来魚類への影響が懸念されているが、近年はブルーギルオオクチバスなどの外来種の脅威も取り上げられている

白身で初夏に美味しいとされ、投網や刺し網、釣りなどで獲り、塩焼きやみそ焼き、天ぷらなどにして食べられるが、食用魚としての価値は低い。

また、ハスは朝鮮半島やアムール川水系、中国の長江水系より南や海南島、また台湾などにも亜種が分布しているが、在来のものは近年生息数が減少していて、環境省のレッドリストに絶滅危惧種・Ⅱ類として指定されている。


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