オイカワ

オイカワ コイ目・コイ科



オイカワ


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標準和名 オイカワ (追河)
分 類 コイ目・コイ科・ダニオ亜科(ラスボラ亜科、ハエジャコ亜科とも)・オイカワ属
学 名 Zacco platypus
英 名 Pale chub / Freshwater minnow
分 布 日本や朝鮮半島、中国など
生息環境 河川の中流から下流域など
全 長 15cm 程度
別名・地方名 ヤマベ(東京)、ハス(大阪・混称)、シラハエ(高知・岡山)、ハイ・ハイジャコ(滋賀)、その他・ハエ、ハヨ、アカムト、アカモトなど
備 考 背びれ・2~3棘6~7軟条、しりびれ・3棘7~8軟条、側線鱗数・43~48
オイカワは北陸・関東地方より西の本州、四国の瀬戸内側、九州北部に自然分布する淡水魚で、国外では朝鮮半島の西岸や台湾、中国東部、ベトナム北部などに分布している。

また、東北地方や四国の太平洋側、種子島や奄美諸島の徳之島などにも移入していて、分布域の広さではカワムツウグイなどと共に身近な川魚となっている。

河川の中流域から下流域、湖沼などに生息するが、夏は浅瀬、冬は深場にいる事が多い。

体は側扁し、腹部と体側は銀白色、背部は淡褐色や灰色を帯びた青色をしている。
体側には赤みを帯びた7~10筋程の横斑が並んでいて、川の上などから見ると、背中には黄色の筋が見える。
雌雄共にしりびれがかなり大きく、側線は完全で、体側の中央よりもやや下あたりを縦走している。
また、口ひげはなく、雄は雌より大形になり、しりびれも雌に比べてかなり大きくて長い。

同属のカワムツやヌマムツによく似ているが、いずれもオイカワほどしりびれは大きくなく、体側に見られる縞は横縞ではなく縦筋なので見分けることが出来る。

また、カワムツなどとは分布域が重なるが、このような場合、オイカワは流れが速い「瀬」の辺り、カワムツは流れのゆるい「淵」というように棲み分けているようである。
しかし、産卵場所が重なるようなところでは、オイカワとカワムツ、オイカワとヌマムツとの交雑種も発見されている。

雑食性で、主に付着藻類などを食べるが、水生昆虫、落下昆虫、底生動物、浮遊動物など、生息している環境によって様々なものを食べる。

繁殖期は5~8月で、岸近くの流れの緩い平瀬の砂礫底で産卵する。
産卵にあたって雄は直径30~50cm程度の産卵床を作るが、これをめぐって激しい縄張り争いをする。

また、この時期の雄は鮮やかな婚姻色を示し、体側は光沢のある赤や青緑色を帯びる。
頭部やしりびれなどには大きな追星が表れ、尾びれ以外の各ひれの前縁も赤っぽくなる。

卵は2~4日でふ化し、稚魚は3~4日間ほどは産卵床に留まる。
その後は河口付近まで下り、成魚近くになると川の中流域に上がっていく。
しかし、中流部などに下流形態を示すような河川では、稚魚の流下はそこで止まることがある。
寿命は長いもので5年程度、ふつうは3~4年と言われている。

ところで、近年の河川改修などによって平瀬が拡大し、オイカワの生息環境は広がっている。
カワムツに比べると水の汚れもに強く、生活排水が流れこむような都市部の河川にも生息し、改修への適応力が低いウグイやカマツカなどの魚が減少するのに対して、オイカワの生息数は増えている。

オイカワの属名"Zacco"は「雑魚」(ザコ)に由来すると言われているが、多くの地方でウグイやカワムツなどと共に「ハヤ」と呼ばれている。
また、標準和名の「オイカワ」は、元々は琵琶湖沿岸域で婚姻色の現れた雄の呼称で、普通はハイやハイジャコの地方名で呼ばれていたもので、婚姻色の表れたものをアカモト、アカムトなどの名前で呼ぶ地域もある。

オイカワは釣りやすい事もあって、釣りの対象魚としても人気がある。
クセのない美味しい魚で、塩焼きや天ぷら、煮つけなどにされる。


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