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オヤニラミ スズキ目・ケツギョ科



オヤニラミ


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標準和名 オヤニラミ (親睨)
分 類 スズキ目・スズキ亜目・ケツギョ科・オヤニラミ属
学 名 Coreoperca kawamebari
英 名 Oyanirami / Aucha perch
分 布 日本や朝鮮半島など
生息環境 川の中流域やその支流など
全 長 15cm 程度
別名・地方名 ミコウオ(兵庫)、ネコノマイ(中国地方)、ヨツメ(広島・九州北部)、ネラミ(山口)、セイベイ、ミズクリセイベイ(福岡)、カワメバル(長崎)など
備 考 背びれ・11~13棘11~13軟条、しりびれ・3棘8~10軟条
保護状況 環境省レッドリスト・絶滅危惧I類(VU)
オヤニラミはスズキ目ケツギョ科に属する淡水魚で、保津川・由良川より西の本州、四国北部、九州北部のほか、国外では朝鮮半島南部にも自然分布している。

体は側扁していて、尾びれの後縁は丸い。
口は大きく、腹びれ・背びれ・しりびれの軟条部は赤く、背びれにはとげがあり、うろこは大きい円鱗をしている。

体色には変化があるが、ふつうは褐色をしている。
また、学名の「kawamebari」は長崎地方の呼び名である「カワメバル」に由来しているが、全体として海水魚のメバル類に似た感じがする。

鰓ぶたの端には、眼よりやや大きい黄色く縁取られた縦長の斑紋があるのが特徴で、眼から後方に向けて暗い朱色の筋が放射状に伸びている。

成長すると全長13~15cm程度になり、ふつうは体に6~7本の横縞があるが、オヤニラミは黒っぽいものや黄褐色のものなど、体色の変化が激しく、縞が判別できないものもいる。

河川の中流域やその支流となる小川や用水路などに生息し、水が澄んで流れの穏やかな場所を好むが、川底がほとんど砂というような場所では見られず、水草の多い、水深50cm前後の岸近くに多く見られる。

食性は甲殻類や水生昆虫、小型魚類などを食べる肉食性で、動くものには素早く反応して、大きな口で丸呑みする。

群れはつくらずに、雄雌ともに一年を通して縄張りを持った単独生活をする。
縄張りに近づいたものに対しては激しく攻撃するが、産卵期の雄は産卵基質を中心にした縄張り意識が特に激しい。

繁殖期は5月を盛りにして4月下旬~9月で、雄はヨシなどのしっかりとした水草の茎を掃除し、それを中心に縄張りをつくる。
雌は粘着性の卵を1列に並べて産みつけるが、産卵を終えた雌は追い払われ、雄が卵を守る。

ふ化するまでの間、雄は近づく魚などを追い払ったりして卵を守るが、胸びれで水を送ったり、死んだ卵を口で取り除いたりして世話をする。
また、オヤニラミのこのような習性を利用して、ムギツクなどはこれらの巣に卵を産みつけ、自分の卵を守ってもらうことがある。

卵は2週間ほどで孵化するが、稚魚ははじめの間は雄に守られて群れで生活している。
1年で全長5~6cmほどに成長し、寿命は5年程度と言われている。

オヤニラミは生息地の開発や河川の水質悪化、人為的に移入されたブラックバスブルーギルなどの外来種による食害などによって、近年では生息数が減少しており、絶滅危惧I種(環境省レッドリスト)に指定されているほか、自然分布地域の府県などでも希少野生生物や絶滅危惧種に指定されている。

その反面、食用に利用されることはほとんどないが、観賞用として飼育されることがあり、これが遺棄されたものなどが各地に広がることが懸念されている。
現在、東京都、愛知県、滋賀県などにオヤニラミが移入されているが、滋賀県では指定外来種、愛知県では公表移入種に指定されている。

ところで、魚の名前には変わったものが多いが、標準和名の「オヤニラミ」は、雄が卵を守る様子・「親がにらみを効かす」ということからつけられたと言われているが、和名の由来には諸説がある。
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