魚類検索 / ハリヨ

ハリヨ トゲウオ目・トゲウオ科



ハリヨ


ハリヨ 1ハリヨ 2ハリヨ 3ハリヨ 4

標準和名 ハリヨ (針魚)
分 類 トゲウオ目・トゲウオ亜科・トゲウオ科・イトヨ属
学 名 Gasterosteus microcephalus
英 名 Hariyo
分 布 琵琶湖周辺など
生息環境 平地の湧水地や小川など
全 長 5~7cm 程度
備 考 3棘9~15軟条、しりびれ・1棘7~9軟条
保護状況 環境省レッドリスト・絶滅危惧IA類(CR)
ハリヨはトゲウオ目・トゲウオ科に属している淡水魚で、自然分布は滋賀県北東部、岐阜県の南西部で、三重県にもかつては分布していたが、1950年代に絶滅している。
また、兵庫県で見られるものは移入されたものである。

全長は5~7cmで、トゲウオ科に独特の鱗板は胸びれ付近の体側前部にだけ見られる。
体は側扁し、背びれの三本の棘条がとげのように発達し、腹にも二本、しりびれ近くにも一本の棘がある。
側線上の鱗は大きい。

雌や若い固体は黄褐色をしているが、雄は全体に青緑がかっている。
また、産卵期の雄には婚姻色が表われ、頭部下面から鰓ぶたにかけて赤っぽくなり、体側は光沢のある青色になるほか、背中の棘はよりはっきりとした鋸歯状になる。

ハリヨは平地の湧水地や小川を中心にして生息するが、水草の多い水深20~50cm程度の浅瀬に多く見られる。
河川の上流部でも水温の変化が少なく、穏やかな流れの淀みなどには生息し、下流部の伏流水の湧く「わんど」や入江などでも見られる。
しかし、いずれも水底が泥質から砂泥質であることは共通している。
また、餌の豊富な水草が多いところや、10~18℃の低水温を好むことも同じで、水温が20℃を超える所には生息しない。

主に小型の甲殻類や水生昆虫、浮遊動物を食べるが、岐阜県のものではユスリカの幼虫を食べているものが多い。

繁殖期は3~5月が盛りであるが、生息地域によってはほぼ一年を通して営巣活動がみられ、湧水地では積雪時でも産卵が行われることがある。

雄は川底に穴を掘って、水草などを利用した巣をつくると同時に、巣を中心にして半径25~50cmほどのなわばりをつくる。
雄はほかの雄に対しては激しく反応し、雌が産卵した後も巣に残り、ふ化した稚魚は雄が世話をする。
また、産卵後期には雄の婚姻色は鈍くなり、全体に黒っぽくなる。
寿命は1~2年で、繁殖期が終わるとほとんどのものが死んでしまう。

国内のハリヨの仲間にはイトヨトミヨなどがいるが、イトヨは海と川を回遊するものもいるが、ハリヨは純淡水で回遊することはない。
また、トミヨとは背中のトゲの数が違うことなどから見分けることが出来る。

近年は生息地の開発などでハリヨの生息数は極めて少なくなっていて、現在では、環境省のレッドリストに絶滅危惧種・IA類として指定され、保護活動が行われている。

また、ハリヨは北アメリカに分布するものと同種とされているが、これとは別種との見方がある。