ウシモツゴ

ウシモツゴ コイ目・コイ科



ウシモツゴ


ウシモツゴ 1ウシモツゴ 2ウシモツゴ 3ウシモツゴ 4

標準和名 ウシモツゴ
分 類 コイ目・コイ科・ヒガイ亜科・モツゴ属
学 名 Pseudorasbora pugnax
英 名 Dwarf topmouth minnow
分 布 濃尾平野など
生息環境 平野部の池沼、細流など
全 長 4~7cm 程度
別名・地方名 アブラヤナギ、ケンカモツゴ、ケンカモロコ、モロコ、クチボソ、ウシ、タゴイなど
備 考 背びれ・3不分枝軟条7分枝軟条、しりびれ・3不分枝軟条6分枝軟条
保護状態 環境省レッドリスト・絶滅危惧IA類(CR)
ウシモツゴは三重、愛知、岐阜などの濃尾平野に自然分布しているコイ科の淡水魚で、静岡や長野などにも分布していると言われている。

体は紡錘形で細く、やや側扁している。
口は吻端にあり、小さくてやや上を向いている。
また、上顎よりも下顎が長く、口ひげはない。

側線は不完全で、胸びれ上方までしか見られないが、鱗は大きい。
体色は黄褐色のような感じで、体側に斑などはなく、体は雄の方が大きい。

一見してモツゴに似ているが、モツゴ程は大きくならず、側線が不完全であるので見分けることができる。

また、シナイモツゴにはよく似ているが、ウシモツゴは雌雄共にモツゴやシナイモツゴに見られる比較的はっきりとした暗色の縦帯は見られない。
縦帯は幼漁期では現れることもあるが、成魚ではほとんど消失してしまう。
また、ウシモツゴの体高はモツゴの中ではもっとも高い。

水草の多い泥底のような底質を好み、平野部の水田や水路、ため池や池など、水の流れのないような所に生息している。
モツゴよりは深場に多く、低層で木の枝の間などに隠れていることが多く、付着藻類や動物プランクトン、底性動物などを食べる。

産卵期は3月下旬~7月上旬頃で、この時期の雄は全体に黒っぽくなり、追星が現れる。
雄は石などの周りに縄張りをつくり、雌を誘って産卵させる。

卵は一週間程で孵化するが、孵化までは雄が卵を守る習性がある。
また、ウシモツゴはケンカモツゴなどとも呼ばれるが、産卵期の雄は激しく縄張り争いを行い、水槽内などでは相手を殺してしまうこともある。

その反面、人影などに驚くと石の間や倒木の枝の間などに素早く隠れてしまう習性がある。
時には泥の中に潜ったりするが、この行動はモツゴとは大きく異なっている。

ウシモツゴは日本の固有種だが、近年では、河川改修や開発などによって生息環境が失われているほか、外来種の圧迫などもあって、生息数はかなり減少している。
現在、環境省のレッドリストでは絶滅危惧種(ⅠA類)に指定しているが、自治体によっては天然記念物にも指定される状況になってしまっていて、更なる保護が必要と言われている。

ところで、ウシモツゴは最近までシナイモツゴの亜種(Pseudorasbora pumila subsp)と考えられていたが、側線鱗数やDNAなどの遺伝的違いによって別種であることが確認されている。
尚、学名の「pugnax」は「攻撃的で気性が荒い」というような意味で、ウシモツゴに見られる性質から付けられている。


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