アユ

アユ キュウリウオ目・キュウリウオ科



アユ


アユ 1アユ 2アユ 3アユ 4

標準和名 アユ (鮎)
分 類 キュウリウオ目・キュウリウオ亜目・キュウリウオ上科・キュウリウオ科・アユ亜科・アユ属
学 名 Plecoglossus altivelis
英 名 Ayu sweetfish
分 布 日本や朝鮮半島、中国など
生息環境 河川の上流から中流域や湖など
全 長 10~30cm 程度
別名・地方名 アア(岡山)、シロイオ(熊本)、その他・アイなど
備 考 背びれ・10~11軟条、しりびれ・14~17軟条
アユはウグイなどと共にもっともよく知られている川魚のひとつであるが、仔魚は産まれた後に海に下り、成長した後には再び川を上る両側回遊を行う。
朝鮮半島から中国沿岸部、ベトナム北部、台湾などに広く分布し、国内では北海道西部より南の各地に分布している。

体は細長くて側扁し、背側は青味を帯びたオリーブ色で腹側は銀白色をしている。
成魚では上あごの前端に突起があり、下あごの前端にも1対の突起がある。
また、アユにはサケ科の魚のように脂びれがある。

川の上流から中流域、湖や海に生息し、成長したものは餌場を中心にした縄張りを持つ習性があるが、縄張りを持つ固体では胸びれ後方に長円形の黄緑色の斑紋が表れ、背びれは長く黒っぽくなり、脂びれの縁は鮮やかなオレンジ色になる。

食性も成長と共に変化し、幼魚の間などはプランクトンや水生昆虫を食べるが、成長するにしたがって付着藻類を食べるようになる

産卵期は地方によって異なるが、大体9月~12月で、この時期には雌雄ともに体が黒ずみ、腹部は赤く色づく。
雄でははっきりとした追星が全身に表れ、体の表面がざらざらとした感じになる。

秋の産卵期になると川の中流や下流に下って、石の多い浅瀬に産卵する。
産卵は群れになって夜間に行われ、直径1mm程の付着卵がばら撒かれ、卵は10~20日程でふ化する。
仔魚は数日のうちに汽水域や海に下るが、この時期はプランクトンなどの浮遊動物を食べ、沿岸部で冬を越す。

翌年の2~3月頃には河口の浅場に集まり、プランクトンや底性動物、落下昆虫などを食べる。
4~5月には川を上りはじめるが、この頃から食性が変わりはじめ、水生昆虫などのほかケイ藻やラン藻のような植物も食べるようになる。

夏頃には川の上流域に達して成魚となり、主に付着藻類などを食べるが、この頃までには両あごの歯が円錐状であったものが、くし状に換わる。
この「櫛状歯」と呼ばれる歯は付着藻類を食べるのに具合がよく、アユが藻類を食べた岩の後には紡錘形の「はみあと(食み跡)」と呼ばれる独特の痕が見られる。

川を上る時は群れを成しているが、定住するようになると、体の大きいものなどは縄張りを持つようになる。
この縄張りは付着藻類の餌場となる石を中心に1㎡前後の広さで、縄張りに入ってきたものには激しく攻撃する。
しかし、個体数が多い場合などは、多くのものが群れを成して生活する習性がある。

産卵の後には多くのものが死んでしまうため、寿命はふつう1年で、「年魚」と書かれることもあるが、中には海や河川の深いところで越年するものもいる。
これらは「二年アユ」、「トマリアユ」、「フルセ」などと呼ばれているが、越年するものの多くは雌が多い。

また、琵琶湖や鹿児島県の池田湖など、一部の湖に生息するものは海に下ることはなく、一生を淡水で過ごすものもいる。
全長は10cm程で「コアユ」と呼ばれているが、コアユも早い時期に川に放流されると大きなアユとなるので、放流用して各地に出荷されている。

しかし、琵琶湖のものは河川のものに比べて繁殖期が早いために交雑せず、仔稚魚は水温の高い海水では生存率が低いため、湖には定着するが河川には定着しないと言われている。

アユはスイカやキュウリに似たにおいがするので、「香魚」などとも呼ばれたりするが、昔から重要な食用魚で、刺し網などで漁獲し、塩焼きや天ぷら、佃煮などにされる。
美味しい魚ではあるが、市場に流通するものは養殖ものが多い。

多くの都道府県で採捕可能な河川や大きさ、期間に制限あるが、アユは釣りの対象魚としても人気があり、縄張りを持つ習性を利用した「友釣り」はよく知られている。

現在でも琵琶湖産のアユはほぼ全国に放流されているが、ビワヒガイハスなどの琵琶湖淀川水系の魚がアユの種苗に混じり、移入された各地では外来魚となっていると考えられている。

また、近年では河川の改修やダムの建造などによって、アユの遡上が困難になっている。
この為に天然のアユは減り、これを補うために琵琶湖からのアユが各地で放流されているが、海のアユを人為的に川に戻すように試みも行われている。

尚、アユはこれまでサケ目アユ科に属していたが、同目のキュウリウオ科から分枝したものとされ、キュウリウオ科を独立した目として、キュウリウオ科の亜科して扱われている。


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