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クモハゼ スズキ目・ハゼ科



クモハゼ


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標準和名 クモハゼ
分 類 スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ハゼ亜科・クモハゼ属
学 名 Bathygobius fuscus
英 名 Dusky frillgoby
分 布 インド洋や太平洋など
生息環境 沿岸の岩礁域やサンゴ礁域など
全 長 10~12cm 程度
備 考 第一背びれ・6棘、第二背びれ・1棘9~10軟条、しりびれ・1棘8~9軟条
クモハゼは、日本から東シナ海、南シナ海を経て、珊瑚海に至る西太平洋から、サモアやトンガ、キリバスなどのポリネシア南部に分布しているハゼの仲間で、国内では、太平洋側では千葉辺り、日本海側では若狭湾辺りから南で見られる。

また、インド洋にも分布していて、マダガスカルやセイシェル、モーリシャスなどのほか、ケニアやモザンビークなどのアフリカ東海岸から、オーストラリア北西海岸まで広く分布している。

体は細長く、頭部は縦偏しているが、体部は側編している。
胸びれ上部には遊離軟条があり、尾びれの後ろ縁は丸い。
鱗は、体側が櫛鱗で、頭部は眼まで円鱗で覆われているが、側面には鱗がない。

体色は褐色や灰褐色のような色合いで、体側中央から下方には暗色の斑が縦列している。
この斑が雲のような模様に見えることから名前が付けられているが、第一背びれの先には太い黄色や白っぽい帯があり、その下には黒褐色の帯がある。
体は雄の方が雌よりも大きく、体色も濃色をしているが、雌雄共に体色は環境に応じて変化する。

また、クモハゼは、咽頭歯をこすり合わせたり、口腔内に水を流入出されて、音を出すことが知られている。
この音は、繁殖期の求愛や威嚇するときなどに発せられると考えられている。

クモハゼは沿岸の岩礁域やサンゴ礁域、河口域などに生息しているが、しばしば淡水域にも侵入する。
ふつうは浅い潮間帯や潮溜まりで見られるが、水深5~6m程でも見られ、小型の甲殻類や魚類、藻類、デトリタスなどを食べる。

九州や本州での産卵期は6~9月頃で、この時期の雄は、全体に黒っぽくなる。
雄は石の下面や岩穴、岩の割れ目や空殻などに巣穴をかまえ、雌を誘い込んで産卵させる。

卵は長径1.8mm、短径0.35mm程の棒状の沈性付着卵で、雄は卵が孵化するまでの間、巣の入り口に留まって卵を保護する習性があるが、この間に他の雌と再び繁殖することもある。
また、体の小さい雄は自ら巣穴を構えることなく、産卵中のペアに割り込んで受精させようとする。
巣穴をかまえる体の大きい雄は、このような小さい雄を追い払うが、産卵期の終わり頃には、体の小さい雄も空いた巣穴を占有することがある。

孵化直後の仔魚は全長2.3mm程度で、寿命は4年を超えると言われている。

このほか、国内ではふつうクモハゼを食用に利用することはないが、分布域内の地域によっては食用に利用されている。
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