クエ ススズキ目・ハタ科 |
標準和名 | クエ (垢穢・九絵) | |||
分 類 | スズキ目・スズキ亜目・ハタ科・ハタ亜科・マハタ属 | |||
学 名 | Epinephelus bruneus / Epinephelus moara | |||
英 名 | Longtooth grouper / Thornhead / Idiot | |||
分 布 | 西日本から東シナ海、南シナ海などの沿岸域 | |||
生息環境 | 主に岩礁域やサンゴ礁 | |||
全 長 | 60~100cm 程度 | |||
別名・地方名 | クエ(関西・高知・和歌山)、クエマス(三重)、マス(愛知)、アオナ(四国)、アラ(佐賀・福岡)、その他・モロコ、アオナ、イギスなど | |||
備 考 | 背びれ・11棘14~15軟条、しりびれ・3棘8~9軟条、有孔側線鱗数・64~67 |
クエはハタ科に属する大型魚で、西日本から台湾、東シナ海、南シナ海などに分布している。 全長60~80cm程のものが多いが、時に全長1.3m、体重が35kg程に成長するものもいる。 体は側扁し、体色は茶褐色や緑褐色で、体側には6本の太い暗色の横縞がある。 この横縞は、所々で穴が開いたようになっているが、頭部にあるものは、眼から口に向かっている。 また、斑紋は若魚でははっきりとしているが、成魚では不明瞭になり、大型のものではほとんど消えてしまう。 口や各ひれも大きく、一見してマハタなどに似ているが、マハタの横縞は7~8本なので見分けることが出来る。 マハタの横縞も大型のものでは消えてしまうが、クエの頭部は尖った感じで、体高も低く細長い。 沿岸魚であるが、水深50m位程のやや深い岩礁域やサンゴ礁に多く、砂底を好んで生息している。 単独で生活し、群れを作ることはない。 昼間は岩陰などに潜んでいて、夕方から夜にかけて獲物を探しだす。 岩礁域にすむ魚類やイカなどを食べるが、クエは決まった場所で生活する習性があるため、遊泳して遠くに離れるようなことはほとんどしない。 産卵期は6~7月で、秋には2~3cm程の幼魚が、磯の浅場や沿岸の潮溜まりに多く見られる。 この時期の幼魚は、背びれの第2棘と腹びれの棘が著しく長い。 ハタ科の魚は、多くのものが雌性先熟の性転換を行うことが知られているが、クエも雌性先熟の性転換を行う。 この為か、大型のものはほとんどが雄で、雌はやや小型のものが多い。 また、クエは体に付いた寄生虫や、口の中の食べかすなどをホンソメワケベラなどに掃除をしてもらう、共生関係があることもよく知られている。 寿命は長く、自然下でも20年程の寿命があるが、飼育下では30年を超える。 クエは透明感のある白身魚で、ハタ科の中でも相当美味しいものとされている。 寒い時期に特に美味しく、洗いや刺身、鍋物など、食用魚として珍重されている。 しかし、市場に出回ることはほとんどなく、一般には流通していない。 主に釣りや定置網などで獲られるが、生息数も少なく、長崎県、三重県、和歌山県など、産地も少ないほか、クエは成魚になるまで時間がかかることも挙げられる。 食材としては天然物は少なく、近年は養殖もされている。 クエは九州地方などでは「アラ」と呼ばれたりするが、同じハタ科に属する「アラ」とは別種なので、注意が必要である。 アラも全長1m程に成長するが、クエとは体の形も違い、縞も縦縞である。 漢字表記の「垢穢」は、垢がついたように汚れていること、「九絵」は体表に不規則な横縞が見られることによると言われている。 |
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