ムツゴロウ

ムツゴロウ ススズキ目・ハゼ科

ムツゴロウ

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標準和名 ムツゴロウ
分 類 スズキ目・ハゼ亜目・オキスデルシス亜科・ムツゴロウ属
学 名 Boleophthalmus pectinirostris
英 名 Great blue spotted mudskipper
分 布 日本や台湾、朝鮮半島、中国沿岸部など
生息環境 汽水や海水の干潟など
全 長 15~20cm 程度
別名・地方名 ホンムツ(佐賀・福岡)、その他・ムツゴロ、ムツ、ムットウなど
備 考 第一背びれ・5棘条、第二背びれ・1棘23~26軟条、しりびれ・1棘23~26軟条
備 考 環境省レッドリスト・絶滅危惧IB類(EN)
ムツゴロウは日本や朝鮮半島、中国沿岸、台湾などに分布しているハゼの仲間で、国内では有明海と八代海の一部に生息している。
トビハゼと同様、干潟の上を動き回ることでよく知られていて、有明海の夏の風物詩になっている。

体は側扁していて、眼は頭の背縁でほとんど接している。
腹びれは吸盤状で、鱗は小さな円鱗をしているが、頭部には鱗がない。

第一背びれの棘は糸状に伸び、尾びれの後ろ端は丸い。
また、胸びれ基底の筋肉は発達していて、ひれを自由に動かすことができる。

体色は灰褐色や褐色、暗緑色などで、頭部側面や体側には青色や白色の斑があり、背びれや尾びれにも青色の斑が見られる。

一見するとトビハゼに似た感じもするが、ムツゴロウの第一背びれは大きく、体側には青色の斑が見られるほか、体も倍ほど大きい。

トビハゼと同じように、汽水や海水の干潟に生息しているが、満潮時や夜間の間は巣穴に潜んでいて、日中の潮が引いたときには干潟に這い出てきて、活発に活動する。

干潟では胸びれを使って這ったり、全身で飛び跳ねて移動したりするが、ムツゴロウは鰓呼吸と皮膚呼吸の両方ができるので、長い時間、干潟の上をかなり自由に動き回ることができる。
しかし、皮膚が乾くと呼吸することができないので、体が乾くと、干潟の上を転がって体を濡らすようにしている。

また、ムツゴロウが干潟表面に這い出てくるのは、国内では6~7月が最も多く、この時期が漁も最盛期になっている。
真冬でも、天気のよい暖かい日なら巣穴から出てくることもあるが、普通は12月上旬から3月上旬頃までは越冬の期間とされている。

干潟表面の珪藻などの底生藻類を主に食べるが、採餌は、大きな口で珪藻類を削り取るように食べる。

巣穴は干潟の泥に斜めに穴を掘ってつくられるが、深さは1m程もあり、普通は1個の入り口と1~2個の通気孔がある。
但し、巣穴の形は、縦穴があるものやないものなど、季節や場所によって様々なものが見られる。
また、縄張り意識が強く、巣穴の周囲に直径2m程の縄張りをもち、この中に入ってきた同種やトビハゼなどに対しては、激しく攻撃して追い払う。

産卵期は5~7月頃で、この時期の雄は干潟の上を飛び跳ね、背びれと口を大きく広げて求愛するなど、独特の求愛行動が見られる。
卵は、巣穴の中の深さ20~30cm程のところに横穴が掘られ、その天井に産み付けられる。

卵は1週間ほどで孵化するが、それまでの間は、雄が卵の世話をする習性がある。
孵化して巣穴を出た仔魚は3mm程で、しばらく浮遊生活を送り、2cm程に成長すると干潟の上を歩くようになり、寿命は4年のものが知られている。

ムツゴロウは、竹筒などで作った罠を巣穴に仕掛ける「タカッポ」や、針で引っ掛ける「ムツかけ」などと呼ばれる独特の漁法で獲られ、食用に利用されている。
白身の魚で、蒲焼きや煮つけ、みそ汁などに利用され、美味しいものとされている。

しかし、近年の干拓などによる干潟の減少や乱獲などにより、個体数は減少している。
現在、ムツゴロウは環境省のレッドリストに絶滅危惧種として指定されているが、更なる個体数の減少が心配されている。

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