チチブ ススズキ目・ハゼ科 |
標準和名 | チチブ | |||
分 類 | スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ゴビオネルス亜科・チチブ属 | |||
学 名 | Tridentiger obscurus | |||
英 名 | Dusky tripletooth goby | |||
分 布 | 日本や朝鮮半島など | |||
生息環境 | 河川の下流や汽水域など | |||
全 長 | 9~12cm 程度 | |||
別名・地方名 | カワハゼ(和歌山)、ドンコ・カジカ(愛媛・混称)、ゴリ(高知・混称)、ゴモ(鹿児島)、ゴロ・クロゴロ(茨城)、イモゴリ(石川)、その他・タボハゼなど | |||
備 考 | 第一背びれ・5棘、第二背びれ・1棘10~11軟条、しりびれ・9~10軟条 |
チチブは淡水域にも見られるハゼの仲間で、朝鮮半島のほか、国内では本州から四国、九州まで広く分布していて、隠岐や壱岐、対馬や五島などといった離島にも分布している。 尾部は側扁しているが、体は太い円筒形で、頭部も大きくて丸みを帯びている。 体色は明るい褐色や暗褐色、黒色などで、頭部の側面には明るい小さい斑が散在している。 また、胸びれの基部には淡黄色や明褐色の三日月形の帯があり、腹びれは吸盤状になっている。 体側には暗色の縦縞が数本見られるものが多く、雄の第一背びれの棘は糸状に伸びている。 河川の下流や汽水域に多く見られるが、チチブは淡水への適応性も高く、河川の中流域などでも見られる。 隠れ場所となる礫や転石のあるようなところに多く、縄張りを張り、底性の小動物などのほか藻類なども食べる。 また、水の汚れにも強いほか、海に下らずに、湖などに陸封されたものも知られている。 産卵期は5~8月頃で、この時期の雄は体色が真っ黒になり、背びれの棘も長く伸びる。 雌では明色となり、雄が縄張りを張った石の下などに産卵する。 ひとつの巣に複数の雌が続けて産卵することがあり、時には同時に産卵することもある。 卵は雄が守り、孵化後の仔魚は3.2~3.7mm程度。 ひと月ほどの間は浮遊生活をおくり、全長が13~14mm程度になると底性生活をはじめる。 一年で成熟するが、寿命は短く、河口域のものは一年で死ぬと言われている。 チチブはハゼ釣りなどに混じって釣れることもあるが、ダボハゼなどと呼ばれ、食用にされることは少ない。 しかし、流通はしないが、地方によっては食用として漁獲され、佃煮や天ぷらなどにされる。 この他、以前は同種とされていたヌマチチブも分布域が重なっているが、両種は大変よく似ていて、外見だけで判別するのは難しい。 一般に、ヌマチチブはチチブよりも大きくなり、第一背びれには普通2~3本の暗い赤色の縦筋が見られる。 また、ヌマチチブにも胸びれ基部に黄土色の帯があるが、その中に不規則な橙色の筋が見られるなどの違いがあるが、成長過程や個体差などもあって、見分けるのは大変難しい。 |
●ハゼ科の魚類へ ●このページの先頭へ |