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ヌマチチブ スズキ目・ハゼ科



ヌマチチブ


ヌマチチブ 1ヌマチチブ 2ヌマチチブ 3ヌマチチブ 4

標準和名 ヌマチチブ
分 類 スズキ目・ハゼ亜目・ハゼ科・ゴビオネルス亜科・チチブ属
学 名 Tridentiger brevispinis
英 名 Japanese trident goby
分 布 日本や朝鮮半島、中国など
生息環境 河川の中流や下流域など
全 長 12~15cm 程度
別名・地方名 ビシ、ゴリ、クロゴリ、カワハゼ、イモゴリ、カワハゼ、ハゼ、ドンコ、ダボハゼ、チチブなど
備 考 第一背びれ・5棘、第二背びれ・1棘10~11軟条、しりびれ・9~10軟条
ヌマチチブは北海道から本州、四国、九州にかけて広く分布しているハゼ科の淡水魚で、壱岐や対馬などのほか、サハリンや朝鮮半島、中国大陸などにも分布している。

体はずんぐりとした太い円筒形で、尾部は側扁しているが、頭部は大きくて丸みを帯びている。
腹びれは吸盤状になっていて、体色はふつう褐色や暗褐色で、頭部の側面には白色の斑が散在している。

体側にも、頭部に見られる白斑と同じものが鱗に沿って不連続に並んでいるが、これらが消失して数本の幅広い暗色の横帯になっているものも見られる。

チチブとはよく似ていて、以前は同種とされていたが、ヌマチチブの尾柄は細い傾向にあり、第一背びれには普通2~3本の暗い赤色の縦筋が見られる。
また、ヌマチチブはチチブよりは大きくなり、未成魚や雌、婚姻色の出ていない雄の胸びれ基底部には黄土色の横帯があるが、その中に橙色の筋が不規則に見られるなどの違いがある。
しかし、成長過程や個体差などもあって、両種を外見上だけで判別するのは極めて難しい。

ヌマチチブは、河川の中流から下流域に生息しているが、河口付近の汽水域や汽水湖、ため池などにも生息している。
岩や倒木など、体を隠す場所が多い場所や礫底などを好み、止水や流れの緩やかなところに多く、河川では淵などの流れの緩やかなところで見られる。

普段は単独で生活し、縄張りをもった生活をしている。
雑食性で、付着藻類を主に食べるが、オオクチバスの産卵床に入り込んで卵を食べることなどもある。

産卵期は春から夏で、雄は石の下などに産卵室をつくり、雌を誘い入れて産卵が行われる。
雌は産卵室の天井に卵を産み付けるが、卵は孵化するまで雄によって守られる。
また、元来は川と海とを往復する両側回遊だが、ヌマチチブは容易に陸封される。

流通はしていないが、底曳き網や釣りなどで獲られ、天ぷらや唐揚げ、佃煮など、食用に利用されることがある。

この他、ヌマチチブは国内に広く分布しているが、元来は自然分布していなかったされる琵琶湖や奥多摩湖、芦ノ湖などにも移入定着している。
この為、琵琶湖ではトウヨシノボリなどが圧迫されるなど、在来のハゼ類との競合が懸念される状況になっているが、侵入経路などは分かっておらず、養殖魚種に混入したり、飼育されていたものが遺棄されたものと考えられている。