ミヤコタナゴ コイ目・コイ科 |
標準和名 | ミヤコタナゴ (都と魚辺に與) | |||
分 類 | コイ目・コイ科・タナゴ亜科・アブラボテ属 | |||
学 名 | Tanakia tanago | |||
英 名 | Tokyo bitterling | |||
分 布 | 日本 | |||
生息環境 | 細流や湧き水のあるため池など | |||
全 長 | 3~6cm 程度 | |||
別名・地方名 | ベンタナ・ミョーブタ・ジョンピー(千葉)、ナナイロ(埼玉)、シャレブナ・オシャレブナ(栃木県)など | |||
備 考 | 背びれ・3不分枝軟条8分枝軟条、しりびれ・2不分枝軟条8分枝軟条 | |||
保護状況 | 環境省レッドリスト・絶滅危惧IA類(CR) / 国の天然記念物 | |||
ミヤコタナゴは関東地方に自然分布するコイ科の淡水魚で、日本の固有種とされている。 名前の由来は、明治の後半、「ミヤコ」である東京市小石川(現・東京都文京区)の東京帝国大学付属植物園の池で発見されたことによる。 体は長い菱型で側扁し、口角部には一対のヒゲがある。 背は淡い紫がかった褐色で、体側や腹面は銀白色をしている。 在来のタナゴの中では小型だが、雄は雌よりもやや大きくなる。 背中線には暗褐色の縦帯が見られ、肩には暗い青色の斑がある。 タナゴ類に見られる体側の青い縦縞ははっきりとしないが、背びれの鰭膜には黒色の斑が見られる。 また、側線は不完全で、前方5~7枚程の鱗に見られる。 背びれの鰭膜に紡錘形の黒い斑紋があるのでアブラボテに似た感じもするが、ミヤコタナゴの体色は鮮やかで、頭部も尖った感じがする。 また、ヤリタナゴとも似ているが、ミヤコタナゴには肩部に暗い青色の斑があり、体高も高い。 平野部の水の澄んだ細流や湧き水のあるため池などに生息し、底性の小動物や藻類などを食べる。 産卵期は4~7月頃で、この時期の雄は背が青紫、頬部と胸は朱赤の婚姻色を表す。 胸びれも朱色で吻部には追い星が現れ、尻びれと腹びれの先が帯状に黒くなり、その内側は白くなる。 雌の産卵管は淡い橙色や黄色で、伸張時には透明に近くなる。 雄は産卵床となるマツカサガイやドブガイなどの周りに縄張りを作り、雌は鰓の中に卵を産みつける。 卵は水温22~23℃で2日程で孵化するが、仔魚はそのまま貝内に留まり、20日程で8~9mmに成長した後、貝内から泳ぎ出てくる。 稚魚は、プランクトンなどを食べて成長し、1年程で成熟する。 自然下での寿命は約2年と考えられているが、飼育下では3~5年の間生存するものも見られる。 また、ミヤコタナゴはタイリクバラタナゴと自然交雑することが知られている。 ミヤコタナゴは、かつては関東地方に広く分布していたとされるが、都市化に伴う開発や圃場整備などにより、多くの地域では絶滅してしまい、現在では千葉と栃木の限られた水域だけ生息していると言われている。 ミヤコタナゴは1974年に国の天然記念物に指定され、現在では環境省のレッドリストにも絶滅危惧種として指定されていて、捕獲や譲渡、生息地の改変などが制限されているが、生息数は減少している。 コイ科の魚類へ / このページの先頭へ |