ヤリタナゴ コイ目・コイ科 |
標準和名 | ヤリタナゴ | |||
分 類 | コイ目・コイ科・タナゴ亜科・アブラボテ属 | |||
学 名 | Tanakia lanceolata | |||
英 名 | Yari-tanago | |||
分 布 | 日本や朝鮮半島 | |||
生息環境 | 小川や用水路など | |||
全 長 | 6~10cm 程度 | |||
別名・地方名 | カンメタ(混称)、タナヘラ、ニガベラ、二ゴロなど | |||
備 考 | 背びれ・3不分枝軟条8~9分枝軟条、しりびれ・3~4不分枝軟条9~10分枝軟条 | |||
保護状態 | 環境省レッドリスト・準絶滅危惧(NT) | |||
ヤリタナゴは朝鮮半島の西岸のほか、国内では北海道と九州南部を除く日本各地に広く自然分布する淡水魚で、国内のタナゴ類のなかではもっとも広く分布している。 側線は完全で、体色は銀白色、背は青色を帯びたような褐色をしている。 体は側扁しているが、タナゴ類としては体高が低く、近縁種とされるアブラボテなどに比べると全体に細長い。 この細い体つきから「槍」タナゴの名前が付けられたと思われるが、他のアブラボテ属のタナゴに見られるように、背びれの条間膜には紡錘形の暗い斑があり、1対の長い口ひげがある。 また、ヤリタナゴには、タナゴ類によく見られる肩の暗い斑はなく、体側の後ろ部分に見られる暗い緑色の縦縞もはっきりとしていない。 タナゴとしては大型で、大きいものでは10cmを超えるものもいるが、ヤリタナゴは分布域が広い為、生息地による形態の差異も多く見られる。 平野部の細流や灌漑用水路のほか、湖や池などにも生息する。 比較的流れのある場所を好むが、湖などでは岸辺の岩場や杭などの周りにも生息している。 しかし、流れが完全に止まった池のような止水域ではあまり見られない。 水草の豊富な砂礫底に多く見られ、付着藻類や小型の底生動物を食べる. 産卵期は4~8月で、この時期の雄は婚姻色を表し、体側は淡緑色、背部は暗色になり、頬と腹部は朱色やオレンジ色に変わる。 背びれとしりびれにも朱色の幅広い縦縞が表れ、ひれの縁は黒色で細く縁取られる。 また、下腹部と腹びれ、しりびれの下は黒くなる。 雌には婚姻色が出ないが、淡いオレンジ色の産卵管が伸びてくる。 雄は主にマツカサガイ、ニセマツカサガイなどの二枚貝の周りに縄張りをつくり、雌を誘って産卵させる。 卵は出水管に産み付けられ、数十個の紡錘形の卵が産み付けられる。 ふ化した稚魚はしばらくの間は貝の中に留まり、ひと月程で貝から出て泳ぎだす。 1年で成熟し、寿命は2~3年と考えられている。 ヤリタナゴはタナゴ釣りの代表と言える魚で、釣りの対象となるほか、定置網などで獲って、他の小魚と共に佃煮にされる。 しかし、近年では河川の改修などによる生息地の減少のほか、オオクチバスやブルーギルなどの外来種による食害などによって生息数が減少している。 現在は環境省のレッドリストに準絶滅危惧種として指定されているが、更なる生息数の減少も懸念されている。 コイ科の魚類へ / このページの先頭へ |