タナゴ コイ目・コイ科 |
標準和名 | タナゴ (魚辺に與) | |||
分 類 | コイ目・コイ科・タナゴ亜科・タナゴ属 | |||
学 名 | Acheilognathus melanogaster | |||
英 名 | Greenstriped bitterling | |||
分 布 | 日本 | |||
生息環境 | 浅い池や湖沼、水路など | |||
全 長 | 5~10cm 程度 | |||
別名・地方名 | マタナゴ(関東)、アナベラ、シャレブナ、センタ、ニガブナ(混称)など | |||
備 考 | 背びれ・9~10軟条、しりびれ・9軟条 | |||
保護状況 | 環境省レッドリスト・絶滅危惧種(IB類・EN) | |||
「タナゴ」はコイ科の淡水魚であるタナゴの仲間の総称としても使われ、混同される場合も多いが、本種は関東平野と東北地方の太平洋側に分布し、日本の固有種とされている。 体は側扁していて細長く、国内のタナゴ類の中ではもっとも体高が低い。 口角部のヒゲは一対で短く、背びれ、しりびれも小さい。 側線は完全で、体色は銀色。 タナゴ類に見られる体側にある暗緑色の縦帯は、背びれの基部の前方からはじまり、その先は尖っている。 鰓蓋後端の後上方にも小さな暗緑色の斑が見られるが、はっきりとしない。 近畿地方などに分布しているイチモンジタナゴなどに似た感じがするが、イチモンジタナゴの縦帯は太くて、ふつうは先が点状になっている。 浅い池や湖沼、それに通じる水路などに生息しているが、流れの緩やかな河川の中流から下流域にも見られ、付着藻類や小型の甲殻類や水生昆虫などを食べる。 産卵期は3~6月頃で、この時期の雄は背方が鮮やかな青緑色になり、腹方は淡い紫色から淡黒色の婚姻色を表す。 腹面や背びれ、腹びれは黒くなり、しりびれも縁のみ白色で黒くなる。 雌では顕著な婚姻色を示さないが、淡い灰色の産卵管が伸び、最長時には尾びれの後端を超える。 他のタナゴのように二枚貝を産卵床とし、カラスガイやドブガイなどの鰓葉に卵を産み付ける。 1回に数個から十数個の卵を産みつけ、これを数回から十数回繰り返して産卵が行われる。 卵は14~16℃の水温で、およ2日程で孵化するが、仔魚はそのまま貝内に留まり、1ヶ月ほどで泳ぎ出してくる。 寿命は、自然下で3年程、飼育下で5年程度と言われている。 タナゴはヤリタナゴなどと共に晩秋から冬にかけての「タナゴ釣り」などで馴染みのある魚で、唐揚げ佃煮などの食用に利用されるほか、観賞用としても利用される。 しか、近年では河川の改修や生息地の開発などによって生息数が激減している。 外来種であるブラックバスやブルーギルなどによる食害のほか、タイリクバラタナゴとの競合といったこともあり、分布域内の神奈川や埼玉では既に絶滅してしまったと考えられている。 現在では環境省のレッドリストで絶滅危惧I種(B類・EN)に指定されている他、多くの自治体でも絶滅危惧種に指定されているが、タナゴは不連続的に分布しているので、地域的な絶滅が懸念されている。 コイ科の魚類へ / このページの先頭へ |