ウツボ スウナギ目・ウツボ科 |
標準和名 | ウツボ(「魚辺」に「單」) | |||
分 類 | ウナギ目・ウツボ亜目・ウツボ科 ・ウツボ属 | |||
学 名 | Gymnothorax kidako | |||
英 名 | Moray / Moray eel | |||
分 布 | 南日本から東インド諸島やハワイなど | |||
生息環境 | 岩礁域など | |||
全 長 | 80cm 程度 | |||
別名・地方名 | ウナギ・ナマダ(東京)、ジャウナギ(伊豆)、ヘンビ(和歌山)、ヒダコ(愛媛)、キダコ(長崎)、キダカ(鹿児島)、その他・キダカ、ナダ、ウナダ、ウミクチナワ、ウミウナギ、ジャウナギなど |
「ウツボ」はウナギ目ウツボ科に属する魚の総称だが、国内では本種(Gymnothorax kidako)の標準和名として使われている。 ウツボ科に属するものは、世界中の暖かい海におよそ200種が知られているが、本種は本州中部より南から台湾、南シナ海までの北西太平洋に広く分布し、サビウツボやトラウツボなどに比べ、日本産のウツボの中ではもっとも普通に見られる。 体は細長く、つよく側扁し、胸びれと腹びれは退化している。 しりびれの縁辺は白いが、背びれの基底がきわめて長く、頭部の後ろからはじまり、尾びれ、しりびれと一緒になっている。 体色は茶色や暗褐色、黒褐色などで、体には小さくて淡い斑紋が散らばっていて、体全体を見ると横縞模様を形成している。 吻は尖った感じで、口は大きく、歯は鋭い。 また、鰓穴は小さくて黒い。 浅い海のサンゴ群落域や岩礁域などに生息し、昼間は岩穴などに潜んでいて獲物を待ち伏せしたりするが、夜になると泳ぎ回って獲物を探したりする。 ウツボは肉食性で、魚類のほか甲殻類や頭足類などを食べるが、特にタコを好むことはよく知られており、自分の体よりも大きいものでも食べてしまう。 元来の性質は荒いが、特に害を与えなければ、人に向かってくるようなことはない。 また、ホンソメワケベラなどがウツボの口内などを掃除し、共生することが知られているが、イセエビなども天敵のタコから身を守り、ウツボは獲物にありつけるという共生関係がある。 あまり流通することはないが、地域によっては食用とされる。 白身で、刺身や干物、佃煮などにすると美味しいものとされているが、皮は強くて弾力性があるので、なめし皮に使われることもある。 ほかの魚と共に延縄や各種の網などで漁獲されるが、鋭い歯で網を切ったりするので、水揚げには手間がかかるほか、あばれたりするので、市場では網袋に入れて売られているところもある。 また、釣りにおいては、特にウツボを狙うことはないが、イシダイ釣りなどに混じって釣れることがある。 このほか、ウツボの和名は、長いからたが矢を入れる「靫」(うつぼ)に似ていることから付けられたなどと言われているが、学名「kidako」は、長崎県の地方名に因っている。 |
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