オオガタスジシマドジョウ コイ目・ドジョウ科 |
標準和名 | オオガタスジシマドジョウ (大型筋縞泥鰌) | |||
分 類 | コイ目・ドジョウ科・・シマドジョウ亜科・シマドジョウ属 | |||
学 名 | Cobitis magnostriata | |||
分 布 | 琵琶湖水系 | |||
生息環境 | 湖や小川、用水路など | |||
全 長 | 8~10cm 程度 | |||
別名・地方名 | ドジョウなど | |||
保護状況 | 環境省レッドリスト・絶滅危惧種ⅠB類(EN) | |||
オオガタスジシマドジョウは以前はスジシマドジョウ大型種(Cobitis sp. L)とされていたもので、スジシマドジョウの中ではもっとも体が大きい。 雄では全長8cm程度だが、雌は10cm程に成長し、琵琶湖水系の固有種とされている。 体は所謂ドジョウ型で細長く、口ひげは6本もっていて、眼の下には棘がある。 体色は淡い肌色や乳白色、淡黄色などで、体側には暗褐色の縦縞が走っている。 尾びれの基部には上下ふたつの斑紋があり、尾びれにも太い横縞のように見える斑がある。 体側の縦縞は頭部から尾びれの基部まで達しているが、太くてはっきりとしたものが多く、普通は点列にはなっていない。 また、ナミスジシマドジョウなどはと異なり、尾びれ基部にある上下ふたつの斑紋は濃くて、ほとんど繋がっているものが多く、尾びれの後端も太く縁取られているものが多い。 しかし、体に見られる斑などは生息環境や固体などによって変化があり、斑が点列になっているものや、尾びれ基部に見られる斑も上下に分かれているものなども見られる。 オオガタスジシマドジョウは琵琶湖とその周辺の河川や用水路などに生息しているが、特に、一部の河川などで琵琶湖とは関係なく生活していると思われるようなものでは、変化も多い。 また、ビワコガタスジシマドジョウ(Cobitis minamorii oumiensis / 以前はスジシマドジョウ小型種琵琶湖型とされていた亜種)とは大変よく似ていて、一見しただけで見分けることは難しい。 一般に、オオガタスジシマドジョウでは尾びれ基底の暗色斑が上下とも濃いのに対して、ビワコガタスジシマドジョウではふつう上が濃くて下が淡くなっているほか、胸びれの基底から腹びれ基部までの筋節数が14~15(通常14)で、ビワコガタスジシマドジョウの11~14(通常12)よりも多いことなどが判別のポイントとされている。 しかし、斑には個体差があり、筋節数も重複していることから、正確な判別は染色体数(オオガタスジシマドジョウでは2n=98、ビワコガタスジシマドジョウでは2n=50)などの違いに頼らなければならない。 オオガタスジシマドジョウは、琵琶湖では北湖西岸に多く、底性の魚で、水深1~3mの砂底や礫底、泥底などに多く見られる。 砂泥底にはよく潜り、ほかのドジョウの仲間のように雑食性で、口から砂の中にある有機物や小動物を砂ごと吸い込んで、砂だけを鰓から出して食べるほか、ユスリカの幼虫や藻類なども食べる。 また、オオガタスジシマドジョウはスジシマドジョウ種群の雄とシマドジョウ種群の雌が交雑した異質4倍体とされているが、シマドジョウの形質を受け継いでいて、ほかのスジシマドジョウ群よりも遊泳力に優れていると言われている。 産卵期は5~6月頃で、この時期には琵琶湖に流入する水路や細流に入り込んでくるので、小さな群れを見つけることができる。 卵は泥底などにばら撒かれるが、産卵は雄が雌に体を巻きつけるようにして行われる。 孵化後の仔魚はすぐに分散していくので生態は詳しく分かっていないが、雄は2年、雌は3年程で成熟すると言われている。 また、産卵は一年を通して水のある水域で行われるため、成魚の死亡率は低く、数年に渡って産卵する個体がいるとも考えられている。 近年は、河川改修などによって生息地や産卵場所が減少して、個体数も減少している。 外来種のブラックバスやブルーギルなどによる卵や成魚の食害もあって、現在は環境省のレッドリストに絶滅危惧種・IB類として指定されているほか、分布域の滋賀県でも絶滅危惧種に指定されている。 尚、オオガタスジシマドジョウは山梨県の一部の河川や東京の奥多摩湖などにも移入分布しているが、詳しい移入経路は分かっていない。 ドジョウ科の魚類へ / このページの先頭へ |