ゼニタナゴ コイ目・コイ科 |
標準和名 | ゼニタナゴ (銭と魚辺に與) | |||
分 類 | コイ目・コイ科・タナゴ亜科・タナゴ属 | |||
学 名 | Acheilognathus typus | |||
英 名 | Netted bitterling | |||
分 布 | 日本 | |||
生息環境 | 浅い池や湖沼、水路など | |||
全 長 | 7~9cm 程度 | |||
別名・地方名 | ヤスリメ(群馬)、オカメ・オタフク(関東)、その他・ニガヒタ、カシマタナゴ、ベンテンタナゴ、タナゴ・ニガブナ(いずれも混称)など | |||
備 考 | 背びれ・3不分枝軟条10~11分枝軟条、しりびれ・3不分枝軟条10~11分枝軟条 | |||
保護状態 | 環境省レッドリスト・絶滅危惧IA類(CR) | |||
ゼニタナゴはコイ科に属する淡水魚で、太平洋側では神奈川、日本海側では新潟より北の本州に自然分布し、日本の固有種とされている。 また、青森には分布しないとされているほか、諏訪湖から天竜川水系などには、産卵母貝となるカラスガイなどの移殖に伴って移入されていると言われているが、定着しているかははっきりしない。 体は側扁し、体高は高い。 タナゴと違って口ひげはなく、側線は不完全で、前方の7~16枚程度の鱗に見られる。 金属光沢があり、背面は緑褐色、腹面は淡い黄色を帯びたような銀白色をしているが、鱗の縁が黒いため、全体に暗い銀色に見える。 また、ゼニタナゴの鱗は国内のタナゴの中では最も小さく、側線鱗数は52~65。 平野部の浅い湖沼や池、それに繋がる水路などの細流に生息しているが、流れの穏やかな河川の中流や下流域にも見られる。 水草の多い砂泥底に多く見られ、群れで生活し、主に水草や付着藻類などを食べる。 産卵期は9~11月頃で、コイ科の多くが春に産卵期を迎えるのに対して、ゼニタナゴの産卵期はカネヒラやイタセンパラと同様、秋になって迎える。 他のタナゴのようにカラスガイやタガイなどの二枚貝を産卵床にするが、特に決まった貝はないと言われている。 この時期の雄は口先に追星が現れ、頭部や体側は朱色を中心にした白や黒などの婚姻色を表す。 雌では灰色の産卵管が伸び、最長時には尾びれの後端を超える。 産卵は1回で数個から数十個の卵を鰓葉内に産みつけ、これを数回繰り返して行われる。 卵は一週間程で孵化するが、仔魚は貝内で越冬し、翌年の4~5月頃に貝内から泳ぎだしてくる。 寿命は自然下で2年、飼育下で4年程度と考えられている。 近年の河川改修や圃場整備などにより生息地が減少し、現在のまとまったゼニタナゴの生息地は10か所程度とも言われている。 また、ブラックバスやブルーギルによる食害も著しく、タナゴやモツゴなどと共に生息数が激減している。 かつてはゼニタナゴの主要な生息地であった霞ヶ浦でも野生のものは絶滅したと言われ、各生息地においても、ため池や細流などに僅かに見られる程度になっている。 タイリクバラタナゴに駆逐されている生息地もあり、多くの自治体で絶滅危惧種に指定されているほか、環境省のレッドリストでも現在は絶滅危惧種(CR)として指定されている。 コイ科の魚類へ / このページの先頭へ |