カネヒラ コイ目・コイ科 |
標準和名 | カネヒラ (金平) | |||
分 類 | コイ目・コイ科・タナゴ亜科・タナゴ属 | |||
学 名 | Acheilognathus rhombeus | |||
英 名 | Kanehira | |||
分 布 | 日本や朝鮮半島など | |||
生息環境 | 河川の下流域など | |||
全 長 | 10~12cm 程度 | |||
別名・地方名 | カンメタ、ヒラボテ、オクマボテなど | |||
備 考 | 背びれ・3不分枝軟条13~14分枝軟条、しりびれ・3不分枝軟条10~12分枝軟条 | |||
カネヒラは朝鮮半島西岸のほか、国内では琵琶湖淀川水系より西の本州と九州の北西部に自然分布しているタナゴの仲間で、宮城県と茨城県の霞ヶ浦とその周辺などにも移入されている。 他のタナゴの仲間と同様、体は側扁していて、体高は高い。 体色は銀白色で、肩にある暗い青緑色の斑ははっきりとしている他、体側の後ろ部分の中央には青緑色の縦縞が走っている。 また、背びれとしりびれの基底は長く、全体としては、ひれが大きな印象を受ける。 側線は完全で、短い2本の口ひげがある。 一見してヤリタナゴなどにも似ているが、カネヒラは体高が高く、背びれの分岐柔状数(13~14)も多いほか、ヤリタナゴの肩には暗色の斑がなく、体側の青緑色の縦縞も不明瞭である事などから見分けることが出来る。 また、カネヒラは国内のタナゴ類ではもっとも大きくなり、時には13cmを超えるものもいる。 河川の下流域に多く、平野部の細流や灌漑用水路など、流れの緩やかなところを好み、湖や池沼などにも生息している。 水草の多い場所を好み、稚魚や幼魚は主に付着藻類を食べるが、成魚になるとオオカナダモなどの水草をよく食べるようになる。 また、雑食性で、水生昆虫や甲殻類も食べる。 ヤリタナゴやアブラボテなど、他のタナゴ類は春に産卵期を迎えるが、カネヒラはイタセンパラ、ゼニタナゴと共に、9~11月頃の秋に産卵期を迎える。 最盛期は10月頃で、この時期の雄には婚姻色が表れ、背は金属光沢のある青緑色を帯び、体側の腹としりびれなどは淡紅色を帯びる。 背びれ、しりびれの縁も淡紅色に染まり、吻端には黒色の追星が表れる。 また、雌では産卵管が伸びるが、長さはそれ程長くはない。 他のタナゴ類と同様、タテボシ、イシガイ、セタイシガイなどの二枚貝の鰓に産卵するが、産卵は一週間程の間隔で数回に分けて行われる。 一度に数十個の卵を産みつけ、卵は5日から一週間程度でふ化する。 しかし、秋に産卵するカネヒラの稚魚は、翌年の5~6月頃までの半年に渡って貝内で過ごし、9mm程度に成長して貝から泳ぎ出て来る。 その後の成長は早く、1年で5~6cm、2年で9cm程度となり、多くは 2年で成熟するが、寿命は短く、自然状態では2年以内と考えられていて、卵を産むものも1年魚が多くを占めていると考えられている。 また、カネヒラはタナゴ類の中では遊泳力が高く、産卵期には二枚貝の多い地域に移動するなど、回遊している可能性も指摘されている。 他のタナゴ類と同様、ブラックバスやブルーギルなどの外来魚の移入、河川改修に伴う生息環境の変化などにより個体数の減少が懸念されているが、国内のタナゴ類の中では本種のみが環境省のレッドリストに指定されていない。 また、近年では東日本や四国においても移入されたカネヒラの定着が確かめられている他、外来魚の脅威にもかかわらず、従来の生息地においても個体数が維持されている地域もある。 これはカネヒラの遊泳力の高さや生殖形態、生活形態によるものと考えられているが、地域によっては絶滅危惧種に指定しているところもあるほか、移入先などでは在来のタナゴ類と産卵母貝をめぐる競合などの懸念もあるなど、カネヒラをめぐっては複雑な状況にある。 鮮魚としては流通していないが、釣りの対象魚でもあり、地方によっては佃煮などに加工される。 コイ科の魚類へ / このページの先頭へ |